2010年9月1日水曜日

鳥羽亮『はぐれ長屋の用心棒 瓜ふたつ』 

 相変わらずうんざりするような暑さが続いている。今日から外壁の補修工事をするので、昨日は近隣の方々への挨拶などをし、朝から工事関係者の方々の出入りもあり、少々気も使うし、面倒くささも覚えている。しかし、この暑さの中で工事の人たちには、本当にご苦労を強いていると案じもする。

 暑さの中で脳も機能を低下させているのか、あれもこれもと仕事もなかなか片付かないが、今日は切れかけているコーヒーを買いにあざみ野まで出かけ、ついでに山内図書館にも本の返却と借り出しに行こうかと思っている。

 先日、幼稚園のM先生から連絡があり、久しぶりで会って話をした。M先生はとてもすてきな先生で、デパートのイタリア料理の店で食事をしながら話を聞いた。幼児教育は大きな曲がり角に来ており、経済効率を優先させる風潮と、この国の政策自体がどうも幼児教育を軽んじるような方向に向かっているように思えてならない。社会全体のとげとげしい雰囲気が幼児教育の従事者や保護者の中に蔓延し、そこで良心的な先生方が苦労することになる。

 出先で、鳥羽亮『はぐれ長屋の用心棒 瓜ふたつ』(2008年 双葉文庫)も読んだ。これはこのシリーズの12作目の作品で、隠居して傘張牢人としてはぐれ長屋に住む主人公の華町源九郎の孫娘は2歳となり、好々爺ぶりが剣客としての姿とともに描かれていく。

 本作では、源九郎の昔の剣術道場の同門で、源九郎とよく似た向田武左衛門が訪ねて来て、やがて一人の若侍を連れてはぐれ長屋に住むことになる。事情を探れば、向田武左衛門が仕える旗本のお家騒動に絡んで、主家の次男が長男夫婦を毒殺して家督を奪い、長男の子である若侍を狙っていることがわかる。

 源九郎をはじめとするはぐれ長屋の住人たちは、向田武左衛門の頼みを受けて、旗本家のお家騒動の問題にかかわり、次男と悪徳医者に雇われた牢人たちと対決しながら、これを解決していくのである。

 物語の展開そのものは、雇われた牢人たちは凄腕であり、悪徳医者も家督を奪った次男も、力で自分の欲を満たそうとする姿も、このシリーズではおなじみのもので、それに対峙するはぐれ長屋の住人たちの市井に生きる姿が対照的であるのもひとつのパターン化されたものとして、いつもと同じようなものだが、それぞれに牢人や貧乏町人として生きつつも、人々の「用心棒」として生きる姿が巧みに描き出されるので、変わらずに面白く読める。

 シリーズ化されたものはどうしてもパターンができて定着したものになってしまうきらいがあるが、物語の格子がしっかりしていれば、それだけに気楽に読めるようになる。鳥羽亮のシリーズ化された作品には、そうした作品が多いように感じられる。

 今日から九月で、今月は日常の仕事の他に、沖縄に行ったり、箱根で友人が出した本の講演会でのリアクターをしたりと、何かと気ぜわしい気がする。外壁の補修工事も今月いっぱいかかる。それにしても、早くこの異常な夏の暑さが引いてくれないかと、つくづく思う。熱帯夜が延々と続いている。

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